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国際災害支援基地構想研究会

はじめに

2011年3月11日の東日本大震災・原発災害は、被災地域の人々の暮らしをどのようにして復興するかと同時に、日本社会の今後のあり方や新しい学術の在り方を問いました。そこでは、地球環境問題に対応した環境・エネルギー政策、自立分散連携した社会システムは、防災や減災に有効であるとの視点に立った、持続可能なまちづくりを官民協働で行うことが求められているといえます。そのためには、地域の多様な情報を収集し、リスクの空間的・時系列的な関係性や情報相互の関連性を、見える化できるオープンな情報プラットフォームを構築することがまず必要です。その活用によって、地域自立型の自然エネルギー利用、災害時に強い交通、通信システム、地域資源、自然生態系のエコシステムサービスに基づく水や食糧供給、地域コミュニティにおける公助・共助・自助の枠組み、気候変動への適応策の検討など、俯瞰的・総合的な議論が不可欠なアジェンダに関する合意形成が支援できると考えます。
経済成長を支えてきた急激な工業化とそれに伴う都市化は、自然環境の悪化や都市環境の脆弱化という事態も招きました。少子高齢化が本格化する中、持続可能で、安全な国土・地域づくりは、喫緊の課題です。私たちは、1995年1月17日未明に起きた「阪神・淡路大震災」を契機に、災害救援活動について先進的に取り組み、先端技術と災害経験をもとに新たな社会基盤やシステムを開発、国内外にパッケージとして提供する、新しい地域開発としての「国際救急支援情報基地構想」を提言してきました。
中部圏は、三連動地震など広域的大災害の想定される地域であり、同時に、先端産業の集積する地域で、我が国の地理的中心かつ、これまでの国際支援の発進基地でもありました。今こそ、この地域で本構想は実現できる、いや実現せねばならないのではないでしょうか。
本提言に興味を持たれた方々の積極的な参加を期待するとともに、広くご指導・ご支援をお願い申し上げる次第です。
わが国の大きなテーマである安全な地域づくりは、アジアにも共通する課題です。
災害に関する既存の調査によると、災害による死亡者は年平均で約7.5万人にも及び、その9割近くが地震や暴風等の自然現象|こ起因する災害によるものが占めています。でまた近年は複合災害も頻発し、それらへの備えは急務となっています。
さらに、このような自然災害の4割近くがアジア内で発生しており、しかもアジアにおける死亡者数の割合は世界全体の8割にもおよんでいます。このように自然災害に備えた救援体制の構築がアジアにおける危急の課題です。

背景

アジア諸国は、「豊かな社会」を実現すべく大量生産・大量消費社会へと社会システムを移し、1980年代から1990年代にかけてはアジアが「世界経済の成長センター」と言われ、確実に発展を遂げてきました。
しかし、低所得国では以前防災インフラの整備が不足し人的被害が継続して発生しており、日本の人道的な災害に対する援助が引き続き求められています。
一方で、すでにタイでは2010年にGNI Per Capitaが4000米ドルを超え(WorldBank)、すでに日本と同じ高中所得国にあたっています。このような国では人的被害のみならず、災害がその国の経済活動に与える影響は甚大になります。さらに経済のグローバル化が急速に進む中その影響は一国にとどまらず世界に波及します。2011年のタイの洪水ではタイに進出していた多くの日本を含む外国企業の工場は長期の閉鎖をよぎなくされ、車や電子電機産業の生産が多く落ち込み、日本の経済にも大きな影響を及ぼしました。
このような事態の解決に貢献すべく、わが国のODA(政府関発援助)も1992年に公表された「ODA大綱」を契機に、人道主義・環境保全を視点としたものに移行、現在も災害支援はODAの重点項目です。
社会経済の発展により、守るべき社会インフラの増大、災害の影響のグローバル化、さらに日本企業が被害に遭遇する確率の増大を鑑みれば、援助は災害に強い日本のインフラの輸出と絡めたものをめざすとした国際協力の重点事項(2011年6月外務省資料)は時機を得たものといえるでしょう。さらにわれわれはその中に日本のIT技術、発展著しいセンサー技術をとりこんだ海外支援を提案することが、海外のみならず、日本の防災システムの高度化と連携し、「安全なアジア」の実現に効果の高いものとなると考えています。グローバル化が進む現在、安全なアジアは日本の安全でもあるのです。

構想の趣旨

わが国の知恵や技術を「安全なアジア」の実現につなげるべく、本研究会では「国際救急支援情報基地」の建設を提案します。これは、東日本および阪神・淡路大震災における様々な混乱の原因は関連する主体間の情報の断絶にあるとの考えから、以下のような環境の実現を目指すものです。

リアルタイムな情報共有を目指す新たな地域整備の実現

ボランティア、緊急支援活動は、災害時においても高い評価を得ましたが、要救援地域やボランティアのノウハウに関する情報が不足していたことも課題として指摘されています。このような課題に着目し、リアルタイムな情報の共有化を図る新たな地域整備として「国際救急支援情報墓地」の建設を提案します。

災害を視点とする新たな産業群の創出

情報の共有化という視点から、発展の著しい情報通信技術を活用し新たな社会基盤やシステムの開発に取り組むとともに、これを支える新たな産業群の創出を目指します。

ボランティアマインドによる新たな文化の創出

制度のあり方等に関する研究・提言を通じて、民間支援、ボランティアを核とした文化の創出を目指します。

アジアを対象とする国際救急支援体制の実現

自然災害が多発するアジアのリーダーとしての役割をわが国が果たすには、自地域の被災に備えるだけではなく、他地域における救出活動も積極的に支援するべきでしょう。

このような視点から、国際救急支援情報基地では、基地内の人材や機材をパッケージとして供給する体制の整備を目指します。

国際災害支援情報基地

国際災害支援情報基地

研究会の体制

国際災害支援基地構想の研究会は、以下の会員により構成される。

顧問名古屋大学 減災連携研究センター長 教授 福和 伸夫
京都大学 防災研究所 巨大災害研究センター 教授 林 春男
名古屋大学大学院 環境学研究科 附属持続的共発展教育研究センター長 林 良嗣
元富士常葉大学 環境防災学部長 BOSAI international 代表 小川 雄二郎
委員座長中部大学 中部高等学術研究所 所長 教授 福井弘道
名古屋工業大学 大学院工学研究科 創成シミュレーション工学専攻 教授 岩田 彰
名古屋大学 大学院環境学研究科 社会環境学専攻 教授 岡本 耕平
富士常葉大学 環境防災学部 准教授 小村 隆史
名古屋大学 減災連携研究センター 研究連携部門 准教授 護 雅史
中部大学 中部高等学術研究所 国際GISセンター 教授 本多 潔
(株)三菱総合研究所 参与 中村 秀至
(財)地域開発研究所 研究部 主任研究員 花島 誠人
(株)創建 取締役副社長 川合 史朗
(公財)中部圏社会経済研究所 代表理事 小林 宏之
(公財)中部圏社会経済研究所 主席研究員 奥田 隆明
事務局中部大学 中部高等学術研究所 国際GISセンター 准教授 竹島 喜芳
中部大学 人文学部歴史地理学科 准教授 渡部 展也
中部大学 中部高等学術研究所 国際ESDセンター 准教授 古澤 礼太
中部大学 工学部創造理工学実験教育科 准教授 井筒 潤
中部大学 中部高等学術研究所 国際ESDセンター 講師 岡本 肇
オブザーバー愛知県 防災局災害対策課 主幹 丹羽 邦彦
春日井 総務部 市民安全課 課長補佐 沖中 浩
NTT空間情報(株) NTT docomo M2Mビジネス部 伊勢田 良一
(株)日立製作所 ディフェンスシステム社 国家安全保障総括 主管 青木 純一
中日本航空(株) 調査測量事業本部 技術部 空間解析総括 総括リーダー 宮坂 聡
(株)帝国建設コンサルタント 環境・空間情報本部 伊藤 将隆
(株)ジオプラン 執行役員 名古屋事務所長 原 隆文
(株)ファルコン 取締役 國澤 和義
(株)テクノ中部 環境技術本部 環境調査部 コンサルチーム 寅丸 武司